吉里吉里学園小学部さんには今回初めて参加してもらいます。
校舎は立派なもので、震災後に建てたのかと思いましたが、あの震災を乗り越えた校舎でした。校舎は高台にあり、児童・教職員ともに全員無事だったといいます(しかし、家族を失った児童・教職員は多数だったようです)。
今回の出前授業に参加してくれた4年生のみんなは全員で14名。休み時間を利用してなのか、校庭で全校生徒がダッシュを繰り返していました。
走り終わって「ハーハー」いいながら戻ってきたみんな。いよいよ授業開始です。
黒須先生、「広告には送り手と受け手がいるね。今日は受け手のことを考えながら、吉里吉里のいいところを吉里吉里を知らない人にどう伝えるか考えてみましょう」
まずはウォーミングアップ!
“いちご”を「いちご」の言葉を使わずにどう伝えるか。“甘くて赤い食べ物”・“外は赤くて、中は白い”・・・
そんな言い換えを5分間で50個目標でやってみよう!
あまいかたまり
はちがたすける
そうかそんな発想もあるね!
黒須先生ほめます。
そして班分け。
2チーム、それぞれチーム名を決めます。
つぎに「吉里吉里の何を伝えたいか」テーマ決め。
決まったのは・・・
マッハチーム「とらまい(虎舞)」
スポーツチーム「ひょっこりひょうたん島」
これから各自でどんなふうにキャッチコピーにしていくか、ですがその前に黒須先生はある広告を見せてどっちのコピーがいい?と問いかけます。
例にあげたイナバ物置。
A.「厚い鉄板を使っているから、こわれません。6,000kgまでものを入れる事が出来ます。」
B.「100人乗っても大丈夫!」
ほぼ全員Bが良いっていいます。と言うか、このコピーを知っているんですね。これももしかしたら、震災後の需要を考えてローカル局でCMを流していたのかもしれません。知らないとわからない部分もありますよね、例えば「プール冷えてます」より、「暑い夏に冷たいプールに入ると気持ちいいよ」のほうにも大勢の手があがっていました。
そこで黒須先生は言います。
① 言いたいことは1つに、短い言葉で
② 「たのしい」とか「うれしい」とか、当たり前のことは言わない
③ 知らない人でも分かりやすく、なるべく具体的に
さて、いよいよキャッチコピーづくり!
まずは個人で5分間考えて書いてみます。
みんなの書いたキャッチコピーの中から、
各グループで気に入ったものを選びます。
そして発表です!
黒須先生からは、みんなの出したものでこれとこれを組み合わせたらもっと面白くなるかもとアドバイスをもらって・・・
ひょうたん島チームは
「ひょうたん島は歌をくちずさみたくなるような大槌の宝物」
虎舞チームは
「300年も続いているどきどきなリズム」
虎舞チームは、「300年」と「リズム」という言葉を、
ひょうたん島チームは「歌をくちずさみたくなる」をプラス。
もう少し詰める時間があればもっとよくなりますね。
すごい、すごい!
また虎舞チームは、虎舞の歴史に関してもすごく知識を持っていました。
地元の前川善兵衛さんが関西で近松門左衛門の国姓爺合戦の歌舞伎を観て感激して、その中の主人公“和藤内”の虎退治を踊りにしたんだよ!と、普通に話します。
踊ってよ!と頼むと、ステップを踏んでもくれました。地元に息づいているんですね。
そうそう、虎舞の頭は買うと高いんだよとも教えてくれました。
吉里吉里学園のみんな、ありがとう!
さて、吉里吉里学園を後にし、
せっかくだから「ひょうたん島」へ。
島まで渡れるようになったと聞いて、
行ってみました。
海岸付近にはまだこんな爪痕も
そしていつもの定点観測。
ひょうたん島遠景
大槌学園は仮設の校舎です。
今年9月には新校舎が出来る予定です。
大槌の4年生は2クラス。
全部で約70名のみんなが、体育館に集まって合同で授業です。
吉里吉里と同じ内容で授業を進めていきます。
○ ウォーミングアップ
○ カレンダーの担当月決め
○ テーマ決め
2月(ひょっこりひょうたん島)、9月(虎舞)は吉里吉里学園で決定。
1月(神楽)、3月(蟹)、4月(サクラ)、5月(わかめ)、6月(ウニ)、
7月(吉里吉里海岸)、8月(新山)、10月(鮭)、11月(シイタケ)、12月(不動の滝)
大槌学園の子どもたちは明るい!
いろいろとポーズをとってきます。
大丈夫かい、キャッチフレーズのほうは?
そんな子どもたちもキャッチコピーづくりを頑張っています。
そして発表へ!
大槌学園のみんな、ありがとう!
さてさて、2日間で黒須先生も同行した我々スタッフも
グッタリ!
子どもたちのパワーに圧倒されました。
東京に戻った黒須先生は、みんなの書いたキャッチコピーをあらためて見直し、最終的な各月のコピーを(ちょいと手を加えつつ)決めていきます。
さて、今回の大槌では商売をされている方の悩みは尽きないようで、こんな話も聞きました。
「この仮設の店舗も10月には完全退去の方針が出て、移る場所は決めたけど、町を離れる人が多く、これから先商売になるか考えると嫌になってくる。震災から5年。これまでは何とか復活してやろうと頑張ってきたけど、これから先の5年、10年を考えると・・・」
現実は厳しい。だからこそ、子どもが笑顔でのびのびと生活してくれることが大事なのかもと、今回も思わされた次第です。